”うがい”は本当に意味がある?感染症に対する効果と”うがい薬”の有用性について

”うがい”は本当に意味がある?感染症に対する効果と”うがい薬”の有用性について

今回は”うがい”について調べてみました。

子供のころから、手洗いとうがいはセットで衛生管理の王道として教育されてきました。

しかし、最近はうがいについて、それほど聞かなくなったような…..。

ウィルス対策と”うがい”

ウィルスの感染拡大についてんぼ意識が高まっている現状において、各機関から対策・予防についての情報が発信されています。

しかし、公的な機関のウェブサイトを見ると、手洗いに関する記述はあるものの”うがい”については書かれていないことが多いです。

■新型コロナウイルスに感染しないようにするために
(1)手洗い
(2)普段の健康管理
(3)適度な湿度を保つ
出典:首相官邸HP

首相官邸の公式サイト「一人ひとりができる新型コロナウイルス感染症対策は?」という項目では”うがい”という文字は見られません。

「3つの密」の回避、マスクの着用、石けんによる手洗いや手指消毒用アルコールによる消毒の励行などをお願いします。
出典:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の予防法」

厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症の予防法」でも”うがい”については触れられていませんね。

対応としては、特に「3つの密」を避けるよう繰り返し案内がされています。

 

ということは、意味がないのか?

これだけ公的な機関が発信しているウィルス対策に”うがい”の文字が無いということは、それには意味がないのでしょうか。

調べてみると、そうともいえないみたいです。

エビデンスは無い

ひとつの事実として”うがい”に関するエビデンス(証拠、根拠)は無いそうです。

そもそもで”うがい”というのは、「鵜飼い」が語源となっている説があることが示す通り、日本独自の衛生習慣なんですって。

外国にの人にとってはその習慣自体が無いらしいので、世界的に見ても”うがい”に関するエビデンスが無いのは仕方がないことかもしれません。

京都大学で臨床試験が行われていた!

エビデンスが無いのならば、自分たちで作ろう!ということで、京都大学のチームが”うがい”に関する臨床試験を行ったそうです。

それがこちら。

試験方法はこのようになっています。

  • 390人のボランティアが参加
  • 水でうがいをするグループ、ヨード液でうがいをするグループ、うがいをしないグループの3つに分かれて試験した
  • 20ccの水、もしくはヨード液を口に含んで、クチュクチュうがい×1+ガラガラうがい×2をワンセット、これを1日3回行った
  • 2か月の調査期間において日々データを記録し、自己判断ではなく、データから風邪をひいたことを定義し集計した

このように、”うがい”をした人と、しないかった人で、風邪をひいた人数を集計することで、”うがい”の有用性を確認したわけです。

その結果がこちら。

  • うがいをしない=全体の40%が風邪をひいた
  • 水でうがいをした=うがいをしなかったグループより40%減った
  • ヨード液でうがいした=うがいをしないグループとほぼ同じ

ということで、”うがい”をしたグループの方が風邪をひいた人は少なかったという結果になりました。

やっぱり意味がある!?

結果を見ると、確かに”うがい”をした方が風邪をひきにくくなるという可能性が高いことがわかります。

さらに、風邪をひいた人たちも、”うがい”をしなかったグループに比べて軽い症状となっていたようです。

効果があった理由とは

動画内では、効果があった理由についても触れられています。

普通に考えるとウィルスが洗い流されたからだと思うかもしれませんが、ウィルスは喉に付着すると比較的早い段階で吸収されてしまうので、1日3回程度の”うがい”で除去されたとは考えにくいとのこと。

そうなんですね、”うがい”でウィルスを除去しようと思ったら、吸収されてしまうまえに対処する必要があるので、それこそ四六時中”うがい”しなければならないということか。

それでは何が良かったのかというと、プロテアーゼという感染を助けてしまうタンパク質が除去されたからという考えを示されています。

ウィルスそのものを除去できたからではなく、その後の感染を促進させる物質を取り除いたからじゃないか?、ということなんですね。

うがい薬は意味ないの?

ちょっと話は逸れてしまうかもしれませんが、先ほどの試験結果を見て「アレっ!?」と思った方もいらっしゃることでしょう。

なぜか、うがい薬を使って”うがい”した人たちが、まったく”うがい”しなかった人たちと同じくらい風邪をひいてしまっている(厳密にいえば若干は少ないですが)ということ。

これについては、うがい薬によって、通常存在しているはずの人体に必要な細菌が除去されたためじゃないか?と考えられているそうです。

うがい薬の主成分はポビドンヨードというもので、こちらは全世界で感染対策に使われている非常に有効な殺菌消毒剤になります。

こちらは非常に強力な殺菌消毒効果があるとされていて、確かに感染対策には効果的ですが、悪い菌だけでなく体に必要な良い菌までやっつけてしまうということです。

これによって口の中は何の防御態勢も無い状態になってしまうので、感染しやすくなるわけですね。

 

結局のところ”うがい”は大事!…みたい!

そのメカニズムまでは研究されていませんが、結果だけを受け止めれば、やっぱり”うがい”には一定の効果がありそうですね。

  • 粘膜に付着した細菌やウイルス、埃などを洗い流すことで口内を清潔に保つことができる
  • 粘膜に潤いを与えることで、その働きが低下しないようにする

「できることは何でもやる!」という意識でウィルス対策に臨むならば、やはり”うがい”も必要な衛生習慣ではないでしょうか。