お恥ずかしながら、わたくし共の業界は「クリーニングはクレーム産業」などと揶揄されることが多いです。
それは何も「多くのクリーニング屋さんが適当にやっている」からではありません。
様々な要因が絡み合い、クレームになりうる事案が発生するからです。
クレーム品が発生した理由を知る
クリーニングトラブルとなる事故が起きる理由は様々です。
事故が起きた原因はどこにあるのか?
それには3つの要素が存在します。
クリーニング店の責任
クリーニング店では、基本的には製造メーカーさんが指示する洗濯方法でクリーニングします。
メーカーさんは事前に洗浄テストをした上で表示を作るので、その通りに洗っていれば本来事故は起こらないはずです。
しかし、機械化が進んでいるとはいえ、最終的には人の手で作業するため「100%ミスがない」とはいかないのが現状です。
そのような場合には当然クリーニング店に賠償責任があります。
ただし、着用年数に応じて衣服の価値は下がります。
(例えば、10年着用された衣服で買った当時の金額を請求されても全額賠償できない、というのはご理解いただけると思います。)
ほとんどのクリーニング店では、クリーニング事故賠償基準に従い現在の価値を勘案した上で賠償金額を定めます。
しかし、紛失の場合には商品情報を確認する術がないので、クリーニング店の誠意を持った対応が求められます。
クリーニング店で起こりうる事故
クリーニング方法の間違い、機械操作のミス、機械の故障、作業者の不注意による破損、お品物の紛失などがクリーニング店の過失にあたります。
製造メーカーの責任
洗濯表示の指示通りクリーニングしたにも関わらず事故が起きた場合には、製造メーカーさんにお品物を確認してもらうのが一般的です。
その結果、製品に問題があった場合には、メーカーさん側で何らかの対応をしていただけます。
購入金額の返金対応や、同商品の在庫があるときにはそちらを譲っていただくことも可能です。
商品自体に問題がある事故
染色堅ろう度が良くない(色落ちする)、洗濯表示の記載ミスなどが製造メーカーさんの過失にあたります。
お客様の着用、管理においての責任
実は、着用による経年劣化、保管方法などによる事故が一番多いです。
その原因にお客様がお気づきでなかった場合も多く存在します。
変色の原因となる物質の付着、虫食いによる穴あきなどは、クリーニング後、目に見えるように現れます。
そのため「クリーニング店で失敗された!」と勘違いしてしまうことが多いのです。
このような場合には、クリーニング店から賠償を行うことはできません。
しかし、プロとしてお店側はクリーニング前の確認やアドバイスを行わなければならないと思います。
事前確認によりお客様から了承を得たり、事故を未然に防ぐことができることもあります。
そのような場合には、クリーニング店に全く責任がない、とはいいきれません。
お客様の着用、管理による事故
汗による色落ち、摩擦のよるスレ、常識的な範囲の経年劣化、保管中の虫食い、勘違いなどがお客様側の原因にあたります。
クリーニングトラブルのまとめ
このように、クリーニングトラブルの原因には様々な理由があります。
また、上記に当てはまらないような事例もございます。
例えば、ポリウレタンコーティングの衣類は、製造から3年ほどで寿命を迎えます。
それは、クリーニング店のミスでもなく、メーカーさんに過失があるわけでもなく、お客様の問題でもありません。
その時を迎えれば、クリーニング後表面が剥離します。
弊社も、多くのクリーニング店も起きてしまったトラブルについては誠意を持ってご説明、ご対応いたします。
もしもクレーム品が発生してしまった場合には、上記のような理由をご確認の上、クリーニング店へご相談ください。